
インターネットが人々にとって身近になったことで、広告はその姿を大きく変えました。
かつては広告といえば、オフライン広告(紙媒体)が中心でしたが、ホームページやブログ、フェイスブックなどのSNSを利用した集客が一般的になった今では、インターネット広告が主流の時代となっています。
ところが、FAXDM、チラシ、DM(ダイレクトメール)などオフラインの媒体を活用した集客は、今の時代でも十分に有効な施策だということをご存知でしょうか?
今回はオフライン広告のメリットと、低予算で効率良く集客できる媒体を紹介します。
この記事の目次
DMやチラシより「ネットのほうが低予算」という誤解
日ごろからブログやSNSなどを利用していると、オンラインで手軽に集客できそうな気になりますが、実はそうで簡単ではありません。
例えば、ブログなどが検索上位に表示されるためには、SEOなどの専門知識が必要です。
ユーザーの検索意図を読み取り、コンテンツに反映させるためには、さまざまなテクニックも求められます。意外とハードルが高く、初心者には手が出しにくいのが現状です。
また、集客には費用対効果も大切です。自社のホームページを持たない場合はWebサイト制作も必要となるため、その予算を加味すると広告を開始する前から多額の費用がかかってしまうことを考慮しなければなりません。
インターネットでは無料のサービスが多いため、一見するとインターネットを活用して集客したほうが低コストで済むと思われがちですが、きちんと集客をしようと思うと意外とそうでもないのです。
一方、チラシやDMなどオフラインでの施策は、広告などの制作物が手軽に作成でき、低予算で集客できる方法もあります。
チラシはワードやエクセル、パワーポイントなど、日常業務で使うソフトでも作成可能。手書きで作ってコピーしても構いません。活用方法さえ分かれば、オフライン媒体のほうが手軽でコストも安く抑えられるのです。
チラシやDMとオンライン広告・紙面広告の比較
チラシやDMは、実は低コストで集客できるオフラインの広告媒体です。
「チラシやDMだと印刷にコストがかさむのでは?」と思う方もいるかもしれませんので、インターネット広告や新聞・雑誌広告など、他の媒体と比較してみましょう。
インターネット広告との比較(オンライン)
インターネットを使った集客は無料でできるものが多いですが、その分「集客のためにブログを始めたけれど、続かなかった」という声も多く聞かれます。
やはり集客効果を上げるには継続が重要で、きちんと成果を上げていくためにはそれなりの専門知識とスキルが必要となってきます。
例えば、コンテンツの作成やネット広告の活用に求められる知識とスキルの一例を挙げてみましょう。
- 最適なキーワードの選定
- ユーザー(見込み客)の検索意図を踏まえたコンテンツ制作
- 広告の配信設定
- 広告運用スキル
いかがでしょうか?
これを見て、「すぐにできる!」という方はそう多くないはずです。
確かに、ネット広告は詳細に見込み客を絞って広告を配信することができ、配信したその瞬間から見込み客に広告を届けることができます。また、急なデザインや仕様の変更も即座にでき、反応が悪い場合にはすぐに差し替えることも可能です。
しかし、忘れてはいけないのは、インターネットを使う=全国・世界中が競合になるということ。
チラシやDMなどであれば、競合はせいぜい近隣数キロなどの商圏範囲だけです。
インターネット広告を利用する場合は、広告費を抑えながら成果を上げるための運用ノウハウが欠かせません。プロに広告運用を依頼するとなると、当然、広告費とは別に運用費が発生します。
「低予算で集客したい」と考えたときには、やはりチラシやDMなどのオフライン媒体に軍配が上がるということです。
新聞広告との比較(オフライン)
「インターネット広告やブログによる集客は難しそうだ。でも、新聞紙面や雑誌広告は広告費が高くて、費用対効果が合わない」。そうお考えの方も多いのではないでしょうか?
確かに大手の新聞広告であれば、それなりに費用がかかります。もちろん全国紙か地方紙、サイズなどによっても違いますが、掲載しようと思うと50万円~2000万円程度必要です。
新聞広告は見込み客を絞らないため、広い客層、特に高齢者層やファミリー層に強く、掲載の審査も厳しいことから社会的な信頼感があります。
しかしその反面、新聞は繰り返し見る媒体ではないため、効果は1日、良くても数日しかありません。
集客に対する効果測定もしづらく、その割に広告費が高額な点が最大のデメリットといえるでしょう。
雜誌広告との比較(オフライン)
雑誌広告であれば、雑誌ごとに見込み客を絞った広告が打てるのも魅力です。趣味嗜好に合わせたターゲティングは高い集客効果が見込め、広告費も一般的に新聞広告よりも低く抑えられます。
また、掲載履歴を宣伝効果として使うという手段もありますので、悪い話ではありません。
しかし、新聞広告に比べて掲載までの期間が長く、発行部数は把握できても実際の購読者数が分かりづらいのが難点です。
低予算で集客できるオフライン広告(チラシ・DM・ダイレクトメールなどの紙媒体)
インターネット広告をはじめとしたオンライン媒体の活用は、知識とスキルが必要。オフラインでも新聞や雑誌の紙面広告になると費用面がネック・・・。そこで、オフライン広告の中でも紙面広告以外に目を向けてみましょう。
紙面広告以外のオフライン広告とは、以下のような媒体です。
- FAX-DM
- ダイレクトメール
- 折り込みチラシ
- ポスティング広告
FAXDM
FAXDMは、見込み客へFAXの斉送信を行う集客方法です。法人営業ではまだまだ現役。手元に顧客リストがなくても、送信代行会社のリストを使って送信することが可能です。低コストで大量に送れるため、導入のハードルは決して高くありません。
ただし、FAXの特性上、モノクロでありチラシよりも鮮明度が落ちるため、写真などの画像を重視する商材には向いていません。
・FAXDMの単価
5円~20円程度
・メリット
低コストで大量に送れる/開封率が高い/反応も比較的即座に出る
・デメリット
クレームの発生が多い/担当者以外の手に渡ってしまう可能性がある/リストによっては到達率が低い
DM(ダイレクトメール)
DMは、顧客や見込み顧客に直接郵送する集客方法です。特に既存顧客の集客手段としては最適。リストを絞って送付することで、反応率を高めることも可能です。
・DMの単価
1件あたり15,000円前後(A4サイズ100部)
・メリット
情報量を増やせる/広告のアイディアがマネされにくい/高い反応率
・デメリット
費用対効果は悪くないものの、送付数を増やすためにはある程度の予算が必要
折り込みチラシ
折り込みチラシは、新聞に折り込むため新聞広告と同じように信頼性が高く、主婦層やファミリー層に強い媒体です。地域密着型で近隣へのアピールにも最適。平均的な反響率は0.01%~0.3%程度といわれており、定期的にチラシを配布することで認知度が高まり反響率もアップします。
・折り込みチラシの単価
2,000円/1,000部程度~
・メリット
短期間で一気に配布できる/即効性に優れている
・デメリット
集客効果を高めるにはまとまった数の配布が必要
ポスティング広告
ポスティング広告は、 ポストに直接投函する広告です。
新聞の購読に関わらず配布が可能なだけでなく、折り込みチラシよりも目につきやすいため、手に取ってもらえる確率が高くなります。エリアを設定すればターゲットを絞った配布も可能。反響率は平均で0.1%~0.2%程度です。一方で1件ずつの投函となるため、配布数や日程にバラつきがでる可能性もあります。
・ポスティング広告の単価
10,000円/1,000部程度(住宅街や集合住宅などは配達コストが安くなる)
・メリット
新聞を取っていない世帯にもチラシを配布できる/折り込みチラシよりも目につきやす/配布エリアを細かく設定できる
・デメリット
ポスティングを禁止しているマンションやアパートが多い/1日の配布枚数に限界がある/天候によっては配布日がずれ込むことがある
オフライン広告(チラシ・DMなど)で集客するメリット
紙とペンさえあれば作れる手軽さと、オリジナル性の高い広告に仕上げられるところがオフライン広告の特徴です。他の広告媒体よりも作成にかかわる費用を抑えることができ、ターゲティング次第では高い費用対効果を出すこともできます。
広告の作成・配布費用が安い
チラシやDMは作成に配布も低価格ですので、費用を抑えて広告が作成できます。
以下は、媒体別のコストを表にまとめたものです。
チラシやDMがネット広告よりもハードルが低く、数十万~数千万円の費用がかかる新聞・雑誌の紙面広告よりも圧倒的に低コストで集客できることが分かります。
媒体別のコスト
媒体 | コスト |
---|---|
新聞広告 | 日経新聞朝刊全国版で50~2,000万円(サイズ等による) |
雑誌広告 | 平均100~400万円 <日経ビジネスの一例> ・モノクロ1ページ 167万円 ・雑誌の裏表紙 380万円 |
FAXDM | 送信1件5~20円 (リストが買取りかレンタルかによっても異なる) |
折り込みチラシ | 2,000円~/1,000部 |
ポスティング | 10,000円~/1,000部 (配布地域やサイズによって異なる。 住宅街や集合住宅などが密集している地域は比較的安い) |
ダイレクトメール | 大判ハガキA4サイズ100部15,000円~ |
インターネット広告 | 広告の種類によって月額固定課金制もしくは従量課金制 ・ページ表示回数によって1円~ ・10~200円/1クリック ・1~50万円/月 ・100万円前後/2万PV など |
専門知識が不要で、手書きでも作成できる
インターネット広告は、広告の作成や運用についてある程度の専門知識を必要とします。
しかし、チラシやDMの作成には専門知識が必要ありません。
イラストレーターが使えなくても、ワードやエクセルでも作成できます。完成したデータは自宅のプリンターで印刷することができ、上質な用紙に美しく印刷したければ印刷業者に持っていけばOK。最近では、ネット上でデータ入稿するだけで、自宅に届けてくれる印刷ショップも多数あります。
見込み客の感情に訴えるコピーや魅力的なオファー、見込み客が得られるメリットをチラシの中に散りばめることができれば、より大きな反響が得られるでしょう。
チラシの制作で重要なのは、デザイン以上に「誰に何を伝えるか」です。
そのためにはターゲットの絞り込みが特に重要で、ターゲットに向けた手紙のようなメッセージを盛り込むことができれば、共感が生まれて反応につながります。
ただデザインが美しければよいわけではなく、ターゲットとした見込み客の感情を刺激しなければいけません。あえて手書きのチラシを使って親近感を伝える方法もあります。
専門知識ではなく、コピーライティングのポイントさえ押さえれば、効果的なチラシを作成することができるのです。
オフライン広告(チラシ・DMなど)で集客するデメリット
チラシやDMなどのオフライン広告には、紙媒体であるがゆえのデメリットもあります。
変更のコストがかかる
紙媒体のデメリットは、原稿の変更にコストがかかる点です。「チラシを印刷した後に良いアイディアが浮かんだ」「やっぱりこっちにしたい」など、印刷後にデザインの修正をしようとするは、再印刷のコストがかかってしまいます。
オンラインでもデザイン修正には同じように手間がかかりますが、デジタルデータなので印刷のコストは不要です。
時間がかかる
紙媒体の場合は、作成から印刷、配布後の反響・効果測定に時間がかかります。
オンラインであればABテストなどの比較テストが簡単に行え、反響をチェックしながらすぐに修正を加えることも可能です。スピードの部分において、紙媒体がオンラインの媒体に劣ることは否めません。
情報量に制限がある
紙媒体の場合は、掲載できる情報量がネット広告などに比べると少なくなります。特にFAXDMの場合は受信側での鮮明度が印刷物よりも落ちてしまうため、画像での訴求が難しく文字情報がメインのアプローチが必要です。
限られたスペースの中でいかに商品・サービスの良さを伝えるのかが重要ですが、コツをつかむまでは苦労するかもしれません。
クレームが発生する、見てもらえない
FAXDMを送ったら「二度と送ってくるな」とクレームが入るという話は、聞いたことがあるかもしれません。チラシやDMなどは、相手に対して一方的に送る広告です。そのためクレームの発生を完全に避けることはできません。
また、集合住宅などにはメールボックス脇のゴミ箱があるケースも多く、ポスティングチラシやDMが見られずに捨てられてしまうことも考えられます。マンションによっては、管理人が配布自体を拒否するところもあるようです。
チラシやDMの反応率を高めるための差別化ポイント
実は「チラシやDMの作成は、広告代理店に丸投げ」というケースが少なくありません。そのため工夫次第で競合との差別化が可能です。
広告代理店で制作した広告はデザインの凝ったものが多いのですが、それが必ずしも集客効果が高いとは限りません。見込み客の心を動かせないチラシは、全く意味がないのです。
広告の反応に影響するのは中身の内容。特に、誰をターゲットにして何を伝えているかが重要です。
ダイレクトマーケティングの世界では、適切なマーケットに、適切なメディアを通して、適切なメッセージを届けることが重要だとされています。
「マーケット」「メディア」「メッセージ」の3 つは、どれが欠けても成果に繋がりません。
自分で適切なマーケット(市場)を選択し、適切なメディア(媒体)で、適切なメッセージを発信し、反応率を高めていくためにそれぞれのポイントをしっかり押さえてください。
適切なマーケット(市場)
マーケット(市場)とは商品やサービスが取引されるところで、商品・サービスに対して需要がある場所です。言い換えると、あなたのお店の見込み客がいる場所のことを意味します。
見込み客のターゲティングは、非常に重要です。ここが間違っていると、どんなにすばらしい広告を作っても反響は得られません。
例えば、20代の女性に向けたダイエット商材を販売するために、ターゲットとして絞り込んだリストに年配の男性が多く含まれていたら、どうなるでしょうか?
当然、反応は落ちてしまいますよね。
これはとても大切なポイントで、見込み客を広く取ってしまうと本来のターゲットではない人をリストに入れてしまう危険性があります。その危険を回避するためには、ターゲットを絞り込む時に、詳細に見込み客をイメージすることが必要です。
つまり、適切なマーケットを選ぶためには、事前にペルソナを設定することが欠かせません。
適切なメディア(媒体)
適切なメディアというのは、伝えたい商品やサービスとマッチした広告媒体を選ぶということです。
例えば、主婦やファミリー層を狙った商品に、法人営業向きのFAXDMを使うことや、新聞を購読していない一人暮らしの若者を折り込みチラシで集客しようとするのは、適切とはいえません。
このように、マッチしていないメディアを使ってしまうと、広告の効果が下がってしまします。
適切なメッセージ
適切なメッセージとは、見込み客が思わず反応してしまう言葉のことです。
チラシやパンフレットなどを作成するときにありがちな間違いとして、商品やサービスの特徴を延々と説明してしまうことがあります。
商品やサービスの特徴は、その商品を知る上でとても重要な要素ではありますが、見込み客の心をつかむことはできません。なぜなら、お客様はその商品の特徴を味わうために商品やサービスを利用するわけではないからです。
お客様は「特徴」ではなく、「特徴から得られるベネフィット」を買っています。
商品やサービスを買ってもらうためには、見込み客の感情を動かすメッセージをチラシに盛り込む必要があります。感情を動かすためには、見込み客が商品を使うことによって得られるメリットについて述べましょう。
広告効果を検証するためにデータ化すべき3つの指標
紙媒体は手軽に作れるとはいえ、作りっぱなしではいけません。結果と要因の関係を紐解くために効果を検証し、さらに改善していく必要があります。
広告をリリースした後にも改善に向けて修正を行うことで、次のリリース時には反響率を高めることが可能です。
以下3つの指標を把握することで、広告の反響を検証することができます。ここではチラシを例に、各指標について解説します。
反響率(反応率、レスポンス率など)
反響率とは、配布したチラシ数に対して見込み客からリアクションがあった数の割合のこと。問い合わせや資料請求、来店など、広告に対して見込み客の反響を検証するために把握します。
チラシ反響率(%)= リアクション数 ÷ チラシ配布数 × 100
顧客転換率(コンバージョン率)
顧客転換率とは、配布したチラシ数に対して商品・サービスを利用した数の割合です。購入や契約、会員登録など、広告によって実際に商品・サービスを利用し顧客へと変化した数を検証します。
顧客転換率(%)= 購買客数 ÷ チラシ配布数 × 100
投資対効果(ROI)
投資対効果は、広告への投資に対する効果を検証する指標です。売上ではなく、平均利益単価を使用して計算する点に注意しましょう。
また計算結果が100になる場合は、広告費に対して100%(=1倍)となり、広告費1円に対して1円の利益ということです。マイナスで出てしまう場合は、効果がなかったと見ることができます。
投資対効果(%)=(購買客数×平均利益単価-チラシ広告費)÷ チラシ広告費 × 100
この他にも、指標はすべてデータ化して効果を検証することが重要です。
- 反響のあった地域
- 反響のあったターゲット
- 反響のあったチラシのデザインパターン
- 反響のあった曜日
データがあれば、各指標を組み合わせて効果を検証することも可能。考えられるすべての数値をデータ化して検証することで、より高い反応を得られるチラシを作ることができるのです。
数値化と効果検証は、チラシやDMに限らず、どの媒体にも欠かせません。検証の結果、最適なメディア(媒体)を見つけ出すことができれば、広告費の最適配分も可能になります。