
世界の主要国の中で「日本の労働生産性は低い」と言われます。
トヨタ自動車の「カンバン方式」に代表されるように、製造業はいかに生産性を上げるかを日々追求しています。ですので、製造業の生産現場における生産性は高いですが、労働集約型のサービス業や、製造業でも、営業や間接部門では生産性が低いのが現状です。
実際、官民を挙げて取り組まれている「働き方改革」では、長時間労働を是正し、
労働生産性を向上させることを狙いとしております。
生産性が向上しないのは、仕事に対して労働集約型の考えをしているからです。
「100のものを得ていた人が、200のものを求めるときに、単純に今までの2倍動いてしまうこと」
このように労働時間と成果の関係を捉えていると、生産性を上げることは難しくなります。
がんばる=闇雲に行動する、ということになってしまっているからです。
ここで考えていただきたいのは、そもそも生産性とはなにか、ということです。
明確に答えられる人は、それほど多くないのではないでしょうか。
この記事の目次
生産性とは?生産性を向上させる3つの考え方とは?
生産性とは、「インプットに対する、アウトプットの割合」を指します。
会社や、経営者にとっての生産性とは、
「少ないインプットで、大きなアウトプット(売上・利益などの成果)を生み出す」ことを意味します。
インプットが多いのに、アウトプットが少ないと「生産性が低い」ということになりますし、
インプットが少ないのに、アウトプットが多いと「生産性が高い」ということになります。
では「インプット」とはどんなものがあるのでしょうか。
まずは、経営資源と言われているヒト、モノ、カネ、情報、があります。
また、個人レベルで言うと時間や体力も入ります。
こういった経営資源・資産、使うとなくなるものをどれだけ投じて、どれだけ得られるのか、といったバランスを見極めることが大切です。
生産性を高めるには、3つの考え方を意識します
- インプットを減らしても、アウトプットが変わらない
- インプットが同じで、アウトプットを増やす
- インプット量の増加率よりも、アウトプットの増加率が高い
今まで1時間かけて100を得られていたとき、
- 0.5時間で、100を得る
- 1時間で200を得る
- 2時間で400を得る
このような成果が得られることができれば、生産性が高くなったと言えるでしょう。
普段からこういった考え方で経営を行っているかどうかで、生産性が大きく変わってきます。
生産性を向上させるための10倍発想法
生産性を劇的に高めるためには、「桁違い」を意識してみてください。
桁違いとは、言葉通り「10倍にする」もしくは「1/10にする」という考え方です。
- 500万円の売上を5000万円にするには?
- 10日かかっていたものを1日でやるには?
思い切って振り切って考えることで、今までにないアイデアや改善施策が思い浮かびやすくなります。
また、生産性の低い会社から学ぶこともヒントになるでしょう。
生産性の低い会社の多くは、
商品・サービスの単価が低く、粗利がとりにくい構造になっていることが多いです。
粗利が取れずに、社員の人件費を賄えない(人を増やせない)。
それにより、一人あたりの業務量が増えて結果、長時間の労働になります。
生産性の低さを労働時間でカバーしなければ、企業が成り立たなくなり、
その長時間労働によって、人件費が増大し、さらに生産性が低下するという負の連鎖が起こります。
自社の商品・サービスの価格を見直してみることもひとつの方法です。
集中力が発揮できる環境を作ることが、生産性向上につながる
アイデアを実行に移すためには、実際に行動するだけです。
個人事業の方や、社員が少ない企業であればトップ自らが動くことが多くなるでしょう。
しかし、人には好き・嫌いや、得意・不得意があります。
好き・得意であれば、生産性は高くなりますが、
嫌い・苦手であれば、生産性は低くなります。
その理由としては「集中力」が挙げられるます。
多くの人は、集中している時に生産性が高いと感じます。
好きなことや得意なことを実施しているときは集中しやすくなります。
補足すると
「集中できる状態」をどのようか作り出すか?
そういった環境を準備できるかも重要です。
- 電話やメールに対応する
- 人に「少しいいですか?」など呼びかけられる
など、仕事が一時中断させてしまう要因はいくらでも考えられます。
人は深い集中に入るまでに一定の時間がかかります。
このように、毎回中断されていたようでは生産性も上がりにくくなります。
生産性を高めるために、集中時間を環境として作り出す方法は、
「集中タイム」として下記のようにルール化することです。
- メールや電話等、コンタクトが取れない時間帯を作る
(例)朝の9時から12時は電話回線を留守電にする。
インターネット環境も遮断してメールも確認できないようにする。等。 - その時間は、社員もお互いに話しかけない
経営者個人での取り組みはもちろんですが、会社全体としてルールを導入してみるのも一つの手です。
苦手な仕事は人に任せて、自分だからこそできる仕事を見極め、そこに資源を集中させる。
自らの資源(時間)を、好きなこと・得意なことに集中投下しましょう。
やらなくてもいい仕事であれば、思い切って捨てる方がいいでしょうし、
嫌な仕事、苦手な仕事はやらない、というスタンスが、
生産性を高めることになるケースも多いです。
しかし、中にはどうしてもやらなければならない仕事もあるでしょう。
成果を出すわけでもないし、生産性が高いともいえない、そんな仕事ではあるものの、付き合いや慣習によって仕方なくやっている…
本当は、そういったものも切り離すことができればいいのですが、切り離すことによって売上や利益が下がったり、懇意にしている人たちが離れてしまったり、といったデメリットが大きいこともあるでしょう。
それを乗り越えてどう経営を安定させるか、ということもテーマの一つではありますが、今回は「人に任せる」という方法をご紹介いたします。
実は、自分が嫌い・苦手な仕事について全ての人が同じように感じるわけではないのです。
- 役員や社員に任せることはできないのか?
- 外部パートナーを雇って依頼することはできないのか?
- 外注化することはできないか?
クラウドソーシングサービスのおかげで、今ではアウトソーシング(外注化)することが容易になりました。
「絶対に自分がやらないといけない」という明確な理由があれば別ですが、
要素分解していくと、実は自分が取り組まなくていい仕事であることが多いです。
そんなときは思い切って人に任せてみる方がいいでしょう。
外注化するためのポイントや流れについては、別の機会で解説いたします。
また、最近ではIT技術の発展により、機械やツールに任せることも増えてきました。
表計算ソフトのEXCEL(エクセル)といった親しみのあるものから、MAツール(マーケティングオートメメーションツール)や、ロボットなど投資が必要なものまで幅広いものがあります。
機械に任せる基準としては、「機械が得意なことは、人間はやらない」ということです。
機械が得意な分野とは、
- 正確さ
- 順番通り
- 反復
が求められることです。
人がやればミスをしやすいことでも、機械なら正確に、言われたとおりに、何度でも文句を言わずやってくれます。
そのような仕事を人がやっていると気付いたときには、「機械化・自動化できないか」という考え方を持つようにしましょう。
自分の時間の使い方を意識することが生産性向上につながる
あらゆる経営の最大の制約資源は「時間」です。
組織全体はもちろんですが、まずは、自分が投じた時間に対して、どれだけのものが得られているのか、まとまった時間をとって分析してみてください。
また、自分が今やっていること、またはこれからやろうとしていることについて、どれだけ生産性を高められるか、常に考えながら行動してみましょう。
- その仕事は、本当に自らが取り組む必要があるのか?
- 自らが最も得意で、お金を生む仕事になっているのか?
自分にしかできない仕事に集中して、
もっと多くの人に役に立ち、問題解決し、喜ばしてあげる。
そのための自分の能力と時間を有効活用するという視点が持てると、よりご自身のビジネスを加速させることができるでしょう。